もうじゆう 作 / 鈴木 智
人間が本源的に秘める「自由への衝動」がテーマの作品です。人間はなぜ「自由」という価値にこだわるのか?時に命を懸けてまで、いつの時代でも一部の人間は自由を求めてきました。反対に、自由を求めない生き方も普通のこととして並行的に存在します。この違いはどこから生まれるのか?人間にとって自由を求める衝動とは何なのか?これを自分なりに理解したい、というのが製作の中核的動機でした。物語の下敷きとしたのはミロス・フォアマン監督の「カッコーの巣の上で」(1964年公開)という傑作映画です。この映画に感銘を受け、同じテーマで自分なりの答えを出せないかと思って描きあげました。見方によっては悲観的なラストにも読めますが、作者としては人間の永遠・不変の情念に対する信頼と畏敬の念を込めて結末を決めたつもりです。共感できるか否かにこだわらず、作者のメッセージをじっくりと味わっていただけたら幸いです。