こんにちは。鈴木です。
GWが始まりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
今回の『来迎+α』は2章の20話・21話から選んだ小ネタとなります。小ネタばかりの記事なので何の気なしにゆるゆると読み流していただけると幸いです(笑)
それでは今回の『来迎+α』をどうぞ!
現実世界で才とちちくろうさんが遂に対面したシーン。ちょいちょい『心の師』とか言ってる割に才はちちくろうさんの顔を覚えていないという…。そもそも才が引き籠っていた地下室の入り口に掛かっていたちちくろうさんの写真は、亜芽乃の前任者の世話係だった人に才が無理やり頼み込んでネットから画像を探してもらい印刷してもらったものでした。自分で苦労して手に入れたものでは無いので、すぐに顔を忘れてしまった様です。なお、連載開始時の設定では『ちちくろうさんは才と最後までニアミスを繰り返すが決して出会わないキャラクター』という立ち位置でしたが、連載終了が決まった時点で設定を変更し、ちちくろうさんにも焦点を当てたエピソードを急遽入れることにしたのでした。
世の中にはどうしてもいじりたくて我慢できないものが存在します。決して悪意はないのですが、ソレを茶化さずにはいられない…というようなものが。私にとって北のあの人たちは、どうもそういう存在のようです。ほんと、なんかツボなんでしょうね。ハイ。
来迎國には才や公威のような超人的なキャラクターもいますが、描いてみたかったことの1つには『名も無き市井の市民(=アンサング・ヒーローズ)が団結して闘う物語にしたい』という点がありました。それも、それぞれが日々働く中で身に付けた職業技能を活かしあって戦争をする、というものです。物語の主人公たちが『主人公であれる前提』を作る名も無きキャラクター(モブ)の存在をしっかりと称揚しながらエンターテイメントをやりたい、そう考えながら試行錯誤していたのですが、このスタンスの実現のためにも今後の創作活動でももっと深く研究&実験を重ねていきたいと思います。
21話の若き日のちちくろうさんのファッション、これは鋼の錬●術師のエ●ワードを意識したファッションだとか。コマ内に映ってはいませんが、右腕はもちろんオートメイル(っぽい感じのアーマー)を装着しています。この頃のちちくろうさんは食事のたびに錬成術発動ポーズで「頂きます!!」と叫んでいたとか…。
どうでもいいことですが、バイト先のおもちゃ屋さん(主にフィギュア)の名前は『ホビー・ヌプヌプ』。店長が小脇に抱えているのは『機動紳士ガンドム』のプラモデルです。この店をバイト先に選ぶあたりにちちくろうさんの個性が発揮されてますね。
21話は当初の2章プロット案にはなく、急遽追加されたちちくろうさんのエピソード回です。その冒頭ページがこちら。ちちくろうさんは徹底して利己的な人物としてキャラ付けしていたので、彼のテーマこそが「利他心とは何か」というものでした。そして『情けは人の為ならず』という言葉が示すものは、一体何なのか。21話はその問いを軸にして描いたエピソードで、結果的に自分としてもとても思い入れのある回となりました。
このシーンでクロは瀕死の部下にとどめを刺しました。才はこれを見て「仲間を殺して武器を奪った」と解釈しましたが、実際のところクロは「部下の名誉のために殺した」のでした。クロたち羌霊族(きょうりょうぞく)は四ツ手の世界では最下層の被差別階級に属し、その中で戦闘能力に優れた者だけで結成された羌賤隊(きょうせんたい)に属しています。この羌賤隊は斬り込み部隊として重宝されているにもかかわらず、その社会的階級ゆえに常に冷遇され、戦果が出せない時には厳しく罰せられるのでした。皇子の命令で突撃して負傷した羌賤隊員が戦果を挙げずに自軍に戻るという事は許されない状況で、部下を助けられないと判断したクロは、彼と羌賤隊の名誉のために自らの手で負傷した部下にとどめを刺したのでした。
この時のちちくろうさんは魂が体から抜け出す体外離脱状態です。そのため彼は時間と空間に縛られない意識状態になり、そこで初めて自分の内面の奥深く、遠い記憶であり心のしこりに向き合います。才を庇って咄嗟に身を挺したちちくろうさんは、同時に、またその瞬間にこそ、自分自身に身を挺したのでした。そこはまさしく彼我の彼方の領域だったのです。
というわけで、今回の『来迎+α』はここまでとなります。また次回をお楽しみに!
才とちちくろうさんが現実世界で対面するシーンについて、なぜ才はちちくろうさんの顔を覚えていないのですか?regard Telkom University
この記事で述べられている物語のコンセプトについて、どのように名も無き市井の市民たちが団結して戦争に挑むストーリーが描かれているのでしょうか?regard Telkom University